ロシアのフィギュアスケート選手・アデリア・ペトロシアン選手は何者なのか、ロシア大会3連覇の成績や得点、プロフィールを詳しく解説していきます。
ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のフィギュアスケート中継を見て、
と驚かれた方も多いのではないでしょうか。
彼女の名前は、アデリア・ペトロシアン。

世界情勢の影響で国際大会から遠ざかっていた間も、ロシア国内で圧倒的な進化を遂げてきた「天才少女」です。
この記事では、アデリア・ペトロシアン選手が何者なのか、なぜ「異次元」と呼ばれるのか、その凄さと知られざる素顔について、詳しくひもといていきますね。
アデリア・ペトロシアンは何者?
ミラノ五輪のリンクに立ったその小さな姿からは想像できないほど、アデリア・ペトロシアン選手は今、フィギュアスケート界で最も「金メダルに近い」と言われている選手です。
遅ればせながらぺと子の演技に脳を焼かれました🤯
— 天然水 (@WlQGXWYdcftaX20) December 22, 2024
タンゴをモノにして滑りこなせる選手はたくさんいる、4回転,3Aを降りる選手も少なからずいる。
では一つの演技でそれを両立できるのは?
アデリア・ペトロシアン貴方しかいない。
鮮烈な赤。最高のクリスマスプレゼントをありがとう🎁 pic.twitter.com/X3TqSO0Mix
まずは彼女がどのような背景を持つスケーターなのか、その基本から一緒に見ていきましょう。
基本プロフィール
アデリア・ペトロシアン選手は、2007年6月5日生まれ。
2026年2月現在は18歳になったばかりの若きフィギュアスケーターです。
| フルネーム | アデリア・ティグラノヴナ・ペトロシアン (Adeliia Tigranovna Petrosian) |
| 生年月日 | 2007年6月5日 |
| 年齢(2026年2月時点) | 18歳 |
| 出身地 | ロシア(モスクワ) |
| 身長 | 152cm (2025年時点) |
| 所属クラブ | チーム・トゥトベリーゼ (サンボ70 クリスタル) |
| コーチ陣 | エテリ・トゥトベリーゼ セルゲイ・ドゥダコフ ダニイル・グレイヘンガウス |
| 家族構成・ルーツ | 父(ティグラン)はアルメニア系 母はロシア人 モスクワ育ち |
| 主な称号 | ロシアスポーツマスター ロシア選手権3連覇(2024-2026) |
身長は152cm(2025年時点)と、フィギュアスケーターの中でも特に小柄な部類に入ります。
その華奢なスタイルは、まるで氷の妖精のようですよね。
所属は、あのザギトワ選手やワリエワ選手を輩出した名門「サンボ70 クリスタル」。
厳しい指導で知られるエテリ・トゥトベリーゼコーチの元で、幼い頃から技術を磨いてきました。
アデリア・ペトロシアン選手の家族は、お父様はアルメニア系、お母様はロシア人です。
彼女自身も自分のルーツをとても大切にしていて、プログラムにはアルメニア人作曲家アラム・ハチャトゥリアン「剣の舞」など、情熱的な曲を選ぶことも多いんですよ。
普段の愛らしい笑顔と、曲が始まった瞬間の情熱的な瞳のギャップに、心を掴まれるファンが後を絶ちません。
ロシア大会3連覇の圧倒的な実力
「ロシアの選手は層が厚い」とよく耳にしますが、その中でもペトロシアン選手の実力は頭一つ抜けています。
なんと彼女は、ロシア選手権で3連覇(2024年、2025年、2026年)を達成しているんです。
なぜこれほどまでに強いのでしょうか。
その理由は、「基礎点の高さ」にあります。
2026年ロシア選手権(2025年12月開催)で3連覇を達成した際の構成を見てみましょう。
ショートプログラム(SP)でトリプルアクセル(3A)を成功させ、フリースケーティング(FS)でも複数の4回転を組み込んでいます 。
ショートプログラム (SP): 得点86.52点
| 順 | 実行要素 (Elements) | 基礎点 (BV) | GOE加点 | 得点 | 備考 |
| 1 | 3A (3回転アクセル) | 8.00 | +2.86 | 10.86 | 完璧な着氷 |
| 2 | 3Lz (3回転ルッツ) | 5.90 | +2.11 | 8.01 | 高い安定感 |
| 3 | 3F+3T (3回転フリップ+3回転トウループ) | 10.45* | +1.89 | 12.34 | 1.1倍の後半要素 |
| 4 | FCSp4 (フライングキャメルスピン) | 3.20 | +1.28 | 4.48 | レベル4 |
| 5 | LSp4 (レイバックスピン) | 2.70 | +1.16 | 3.86 | レベル4 |
| 6 | StSq4 (ステップシークエンス) | 3.90 | +1.67 | 5.57 | レベル4 |
| 7 | CCoSp4 (足換えコンビネーションスピン) | 3.50 | +1.40 | 4.90 | レベル4 |
| 技術点 (TES) | 37.65 | +12.37 | 50.02 | ||
| 演技構成点 (PCS) | 36.50 | 9.0〜9.75点台 | |||
| 計 | 86.52 |
多くの選手がダブルアクセル(2回転半)を跳ぶショートプログラムで、ペトロシアン選手はトリプルアクセル(3回転半)を軽々と成功させます。
さらにフリープログラムでは、後半になってもスピードが落ちず、高難度のジャンプを次々と決めていきます。
フリースケーティング (FS): 得点176.40点
| 順 | 実行要素 (Elements) | 基礎点 (BV) | GOE加点 | 得点 | 備考 |
| 1 | 4T+2T (4回転トウループ+2回転トウループ) | 10.80 | +2.71 | 13.51 | 高いGOE加点 |
| 2 | 4T (4回転トウループ) | 9.50 | +3.12 | 12.62 | 流れのある着氷 |
| 3 | 3A (3回転アクセル) | 8.00 | +2.14 | 10.14 | 安定した軸 |
| 4 | 3Lo (3回転ループ) | 4.90 | +1.47 | 6.37 | |
| 5 | 3Lz+1Eu+3S (3連続ジャンプ) | 11.77* | +1.26 | 13.03 | 後半1.1倍要素 |
| 6 | 3F+3T (3回転フリップ+3回転トウループ) | 10.45* | +1.51 | 11.96 | 後半1.1倍 |
| 7 | 3F (3回転フリップ) | 5.83* | +1.67 | 7.50 | 後半1.1倍 |
| – | その他(スピン・ステップ) | 各種 | 20点以上 | 全要素レベル4 | |
| 技術点 (TES) | 約82.0 | 約17.0 | 99.00 | ||
| 演技構成点 (PCS) | 77.40 | ほぼ全項目9.5以上 | |||
| 計 | 176.40 | ||||
| 合計 | 262.92 |
2025-26シーズンのロシア選手権で叩き出した合計スコアは「262.92点」。
カミラ・ワリエワ選手がマークした世界最高得点272.71点の背中が見える、そんな得点をたたき出したのです。

これは、国際大会で優勝を争うトップ選手たちと比較しても、30点近く差をつける驚異的な数字です。
「もし彼女が国際大会に出ていたら、間違いなく表彰台の真ん中にいただろう」と世界中の専門家が唸るのも納得ですよね。
4回転ループ成功の実力者
ペトロシアン選手の名前を歴史に刻んだのが、「女子初の4回転ループ成功」という快挙です。
フィギュアスケートには6種類のジャンプがありますが、「ループジャンプ」は、滑ってきた勢いをそのまま利用して、右足一本で踏み切る非常に難しいジャンプです。
これを4回転で、しかも女子選手が成功させたというのは、まさに「重力の壁を超えた」瞬間でした。

ペトロシアン選手のジャンプの特徴は、力で高く跳び上がるというよりも、「回転のスピードがとにかく速い」こと。
小柄な体型を最大限に活かし、空中での回転速度を極限まで高めているんです。
まるで独楽(こま)のようにクルクルと回るその姿は、瞬きをしている間に着氷してしまうほど。
最近では、成長に伴う体型の変化に合わせて、より安定感のある「4回転トウループ」や「4回転フリップ」も武器にしています。
「跳べる」だけでなく、自分の体をコントロールして「勝ち続ける」賢さも、彼女の大きな魅力の一つと言えるかもしれません。
これまでの驚異的な大会成績
ここでは、 アデリア・ペトロシアン選手がこれまでどのような成績を残してきたのか、主な記録を整理してみました。
「天才」と呼ばれながらも、決して順風満帆なだけではなかった努力の軌跡が見えてくるはずです。
【主な大会成績一覧】
| シーズン | 大会名 | 結果 | 備考 |
| 2021-22 | ロシア選手権 | 4位 | シニア勢に混ざり4回転ループを初成功 |
| 2023-24 | ロシア選手権 | 優勝 | 初のロシア女王へ。圧倒的な点数差 |
| 2024-25 | ロシア選手権 | 優勝 | 2連覇。260点台の領域へ |
| 2025-26 | ロシア選手権 | 優勝 | 3連覇達成。絶対女王として君臨 |
こうして見ると、北京オリンピック直後のシーズンから、ペトロシアン選手がロシア国内で「無敵」の状態を築いてきたことがよく分かりますね。
注目なのは、やはり点数(スコア)の伸びです。
デビュー当時は「ジャンプは凄いが、表現力が課題」と言われることもありました。
しかし、ここ数年で「演技構成点(PCS)」も飛躍的に向上しています。

以前は氷を削る音が大きいと言われたスケーティングも、今はとても滑らかになりました。
激しい曲でも音が遅れることなく、指先まで神経が行き届いた演技を見せてくれます。
「ジャンプだけの選手」から、「表現者」としても一流になったこと、それが、3連覇という偉業を支えている一番の要因なのかもしれません。
ロシアの過去のメダリストとの実力差は?
フィギュアスケートファンの方なら、北京オリンピックで活躍したワリエワ選手、シェルバコワ選手、トルソワ選手のことを鮮明に覚えているのではないでしょうか。
「今のペトロシアン選手は、あの伝説の3人と比べてどうなの?」と気になる方も多いと思います。
結論から言うと、ペトロシアン選手は「3人の強みをバランス良く受け継いだハイブリッド型」と言えるかもしれません。
| 特徴 | カミラ・ワリエワ | アンナ・シェルバコワ | アレクサンドラ・トルソワ | アデリア・ペトロシアン |
| 4回転ジャンプ | サルコウ, トゥループ | ルッツ,フリップ | ルッツ,フリップ, トゥループ | ループ, フリップ, トゥループ |
| トリプルアクセル | 成功率高 | なし | 成功率低 | 成功率高 |
| 柔軟性・スピン | 神級 | 高 | 中 | 高 (ワリエワに迫る) |
| スケーティング | 非常に滑らか | 洗練 | パワフル | 高速・鋭い |
| 主要な大会成績 | 団体戦金(剥奪) | 五輪個人金 | 女子4回転の先駆者 | 女子初の4Lo成功 |
【歴代トップ選手との特徴比較】
ワリエワ選手のような「絶望的なまでの美しさ・柔軟性」という点では、まだワリエワ選手に分があるかもしれません。しかし、ペトロシアン選手は小柄な体を活かした「動きのキレ」と「ステップの回転速度」で勝ります。
「4回転を5本跳ぶ」というトルソワ選手のパワーは規格外でしたが、成功率は不安定な一面もありました。ペトロシアン選手は、4回転の本数を2〜3本に絞る代わりに、トリプルアクセルを組み込むことで、「高難度かつ安定感のある構成」を実現しています。
ここ一番での勝負強さを持っていたシェルバコワ選手。ペトロシアン選手もまた、ワリエワ選手らが不在となった後のロシア女子フィギュア界を一人で背負うプレッシャーの中で、3年間勝ち続けました。その「精神的なタフさ」は、シェルバコワ選手に通じるものがあります。
つまり、現在のペトロシアン選手は、先輩たちが持っていた武器を少しずつ取り入れ、さらに自身の「高速回転」というスパイスを加えた、最新にして最強の進化系なのです。
まとめ
アデリア・ペトロシアン選手について、その凄さと魅力をお伝えしてきました。
ミラノ・コルティナ五輪では、国旗を背負わない「中立の個人選手(AIN)」としての出場となります。
リンクサイドに国旗はなく、もし優勝しても国歌は流れません。それでも、彼女がこれまで積み重ねてきた努力や、氷の上で流した汗に嘘はありませんよね。
この記事のポイント:
- 身長152cmの小柄な体から繰り出す高速ジャンプが武器。
- 女子初の4回転ループ成功者であり、ロシア選手権3連覇の絶対女王。
- 2026年現在、技術点・表現力ともに世界最高峰のレベルにある。
大会直前には怪我や体調の不安も報じられており、決して万全の状態ではないかもしれません。
それでも、厳しい時代の中を滑り抜けてきた彼女の演技は、きっと私たちの心に何か強いメッセージを届けてくれるはずです。
政治的な背景は複雑ですが、一人のアスリートが限界に挑む姿を、ぜひ温かい目で見守っていきましょう。
アデリア・ペトロシアン選手の演技が、素晴らしい記憶として残ることを願っています。

