近年、フィギュアスケート界で圧倒的な存在感を放っているフランスのアダム・シャオイムファ選手のルーツは中国にあるのか、両親のルーツやフランス代表の理由に迫ります。
そのアジア的な顔立ちと「シャオイムファ」という独特な名前の響きから、「彼は中国人なの?」「なぜフランス代表?」と疑問に思う方が非常に多いようです。

実はシャオイムファ選手のルーツを辿ると、予想外の「国」とドラマチックな家族の歴史が見えてきました。
この記事では、アダム・シャオイムファ選手のルーツ、国籍の真実、そして彼を支える両親や家族のこれまでの経歴について徹底解説します。
アダム・シャオイムファは中国系?
結論から言うと、アダム・シャオイムファ選手は、
です。
一見複雑に見えるこの背景について、詳しく紐解いていきましょう。
【結論:アダム・シャオイムファ選手のルーツまとめ】
- 国籍: フランス(生まれも育ちもフランス)
- 両親: モーリシャス共和国出身の移民
- ルーツ: 父方の祖父が中国出身の客家(ハッカ)
- 名前: 祖先のフルネームが誤って「苗字」として登録された
両親の出身地はどこ?
アダム・シャオイムファ選手選手の両親、父ダニエルさんと母パトリシアさんの出身地は、中国ではなく「モーリシャス共和国」です。
モーリシャスはアフリカ大陸の東、インド洋に浮かぶ島国で、「インド洋の貴婦人」とも呼ばれる美しいリゾート地として知られています。
地図で見るとわかりますが、モーリシャスはアフリカ大陸の隣にある島国です。
中国からは遠く離れていますが、歴史的に「華僑(中国から海を渡って移り住んだ人々)」が多い場所でもあります。
しかし、なぜモーリシャス出身の彼が「中国系」と呼ばれるのでしょうか?
シャオイムファ選手の父方の祖父が中国出身の「客家(ハッカ)」だから
「客家(ハッカ)」は、中国南部をルーツに持つと言われている漢民族のグループです。
アダム選手の祖父は中国からモーリシャスへ渡った移民であり、現地で「中国系モーリシャス人」としてのコミュニティを築きました。
その後、シャオイムファ選手の両親は1980年代初頭に、より良い教育環境などを求めてモーリシャスからフランスへと移住しました。
つまり、アダム・シャオイムファ選手は「中国からモーリシャスへ、そしてフランスへ」という、海を渡り続けた一族の歴史を受け継いでいるのです。
名前の漢字表記や中国語での呼び方ある?
「シャオイムファ(Siao Him Fa)」という長い苗字は、非常に珍しいですよね。
これには、移民ならではのエピソードがあります。
本来、彼の家の姓は「Siao(蕭/シャオ)」だけでした。
しかし、祖父か曽祖父がモーリシャスへ移住した際、役所の手続きミスか勘違いにより、フルネームである「Siao Him Fa」がそのまま「姓」として登録されてしまったと言われています。

そんな事情から、名前が「アダム・シャオ」ではなく「アダム・シャオイムファ」が法的な名前となっているんですね。
また、中国語圏のメディアでは、彼に漢字の名前が当てられています。
「萧传文(繁体字:蕭傳文)」。
読み方は「シャオ・チュアンウェン」となります。
「文を伝える」という意味を持つこの名前は、単なる当て字ではなく、一族の系譜に基づいた正式な中国名の可能性が高いとされています。
なぜフランス代表なのか国籍取得の背景
「中国系のルーツがあるのになぜフランス代表?」という疑問の答えはシンプルです。
シャオイムファ選手ご本人が、フランス生まれのフランス育ちだからです。
両親は彼が生まれる20年近く前にフランスへ移住しており、シャオイムファ選手は2001年にフランス南西部のボルドーで生まれました。
したがって、生まれた時からフランス国籍を持っており、帰化したわけではありません。
彼にとってフランスは母国であり、フランス代表として戦うことは極めて自然なことなのです。
中国語は話せる?現地での人気と評判
ルーツが中国にあるとはいえ、アダム選手自身はフランス語が母国語。
インタビューなどでは流暢な英語も話しますが、中国語はほとんど話せないようです。

過去の取材やインタビューでも、中国語は簡単な挨拶程度しか披露されていません。
しかし、中国国内での人気は絶大です。
特に2023年に中国・重慶で開催されたグランプリシリーズ「中国杯」で優勝した際は、現地ファンから熱烈な歓迎を受けました。
中国メディアからも「帰ってきた英雄」のような温かい扱いを受けており、彼のダイナミックかつ東洋的な美意識を感じさせる滑りは、中国のフィギュアファンの心を掴んで離さないようです。
アダム・シャオイムファのプロフィール
ここからは、フィギュアスケーターとしてのアダム・シャオイムファ選手の魅力を深掘りしていきます。
異色の経歴や、彼を一躍有名にした「あの技」についても触れていきます。
wiki風プロフィール
- 名前: アダム・シャオ・イム・ファ(Adam Siao Him Fa)
- 生年月日: 2001年1月31日
- 年齢: 24歳(2025年時点)
- 出身地: フランス・ボルドー
- 身長: 167cm
- 家族構成: 父、母、兄2人、姉1人の4人兄弟の末っ子
- 職業(父): 麻酔科医
シャオイムファ選手は非常に優秀な家系の末っ子として育ちました。
お父様は麻酔科医として活躍されており、お姉さんも同じく医師(小児科・アレルギー専門医)の道を歩んでいるという、まさにエリート一家です。
4歳からスケートを始めたきっかけは、先にスケートや体操を習っていた兄や姉たちの真似をしたかったからだそう。
兄弟全員がスポーツに親しむ環境が、彼の類まれな身体能力の基礎を作ったと言えるでしょう。
実は、シャオイムファ選手のルーツである中国の『客家(ハッカ)』の人々は、伝統的に教育熱心で勤勉なことで知られています。
移民先で成功するために子供の教育に力を入れる文化があり、アダム選手のお父様やお姉様が医師として活躍されているのも、こうしたルーツの精神が受け継がれているからかもしれません。
これまでのコーチやプログラム・振付師
シャオイムファ選手のキャリアを語る上で欠かせないのが、2人の指導者と振付師の存在です。
ジュニア時代からシニア初期にかけては、フランスの英雄であり元世界王者のブライアン・ジュベール氏に師事していました。
彼の力強いジャンプや氷上での男性的な振る舞いは、ジュベール氏から受け継いだDNAと言えます。
その後、拠点をニースに移し、現在はセドリック・トゥール・コーチの指導を受けています。
そして、シャオイムファ選手の才能を「芸術」へと昇華させたのが、振付師のブノワ・リショー氏です。
リショー氏とのタッグによるプログラムは、どれも前衛的で独創的です。
シャオイムファ選手は単にジャンプを跳ぶだけでなく、コンテンポラリーダンスのような身体表現を氷上で体現できる稀有なスケーターへと進化を遂げています。
主な戦績
シャオイムファ選手の戦績は、まさに「右肩上がり」です。
- 2022年北京オリンピック
14位
- 2023年ヨーロッパ選手権
優勝
- 2024年ヨーロッパ選手権
優勝
- 世界選手権
SP19位からの大逆転で銅メダル獲得
2022年の北京オリンピックでは14位でしたが、その後覚醒。
ヨーロッパ選手権では2023年、2024年と連覇を果たし、ヨーロッパ絶対王者の地位を確立しました。
特筆すべきは、2024年の世界選手権です。
ショートプログラムでまさかの19位と出遅れましたが、フリーで驚異的な追い上げを見せ、なんと銅メダルを獲得。
この歴史的な挽回劇は世界中に衝撃を与えました。 さらに、この大会のフリーでは、当時禁止技とされていた「バックフリップ(後方宙返り)」を敢行。
減点覚悟で自身の信念を貫くその姿勢は、「氷上の革命児」として称賛と議論の両方を巻き起こしました。
この行動がきっかけの一つとなり、翌シーズンからバックフリップがルール上で解禁されるという、歴史を変える出来事となりました。
アダム・シャオイムファのルーツに関する世間の反応
SNS上では、アダム選手のルーツを知ったファンから様々な反応が寄せられています。
特にX(旧Twitter)では、彼の活躍とともにその背景に関心を寄せる声が多く見られます。
多くのファンが、彼の「フランス代表としての誇り」と「アジア・モーリシャスのルーツ」が融合した独特の雰囲気に魅了されているようです。
アダム・シャオ・イム・ファ選手、フランス国籍
— Eiji Domon/ Bernardo Domorno (@Dominique_Domon) March 30, 2025
家人「フランス代表だけど、ベトナム人かな?」
私「ベトナムにも華僑系の人はいたからね。」
調べてみた
私「えーと両親がモーリシャス共和国出身で、父方の祖父が中国出身。名前を漢字で書くと蕭 傳文。これは想像の斜め上というか。」
特に、中国杯での優勝時には「ルーツの地で勝つなんてドラマチック」といった感動の声も多く聞かれました。
彼が持つ多文化的な背景は、世界中のファンを惹きつける大きな魅力の一つとなっています。
まとめ
アダム・シャオイムファ選手について、ルーツや経歴を詳しく解説しました。
- ルーツ: 両親はモーリシャス出身、祖父は中国出身(客家)。
- 国籍: フランス生まれのフランス育ち。
- 名前: モーリシャス移民時の登録ミスにより「Siao Him Fa」という複合姓に。中国名は「萧传文」。
- 魅力: 医師の家系に育ち、高い身体能力と芸術性を融合させた「革命児」。バックフリップ解禁の立役者でもある。
中国、モーリシャス、そしてフランス。3つの文化を背景に持ち、氷上で独自の表現を追求するアダム選手。
2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けて、金メダル最有力候補の一人である彼の活躍から、今後も目が離せません!


